経営目標は複数設定する

Ia ora na!
人の行動は、目標によって決まります。
「どういった目標を設定するか?」がとても重要です。
経営の視点で考えた場合、経営に必要な領域ごとに設定されなければなりません。
伝説のコンサルタント一倉定は、主に次の8つの領域をあげています。

f:id:ko-manage:20201112142338p:plain



なぜ目標を複数設定するのか?
それは、たったひとつの目標にしてしまうと、社員を間違った行動に導いてしまうからです。
例えば、目標を売上高だけに設定すると、ひたすら売上増大を図る行動に導き、大幅値下げや大ロット受注に走って、企業を危うくさせます。
目標を複数設定することでこれを防止し、「どうやって?」の方針に沿った行動に導いていけるのです。領域ごとの有機的連携で方向性が定まり、全体最適を促すのです。

具体的に、上記8つの中身を見ていきましょう。

1.市場における地位
これはマーケットシェア(市場占有率)です。
マーケットシェアは、ターゲット顧客、競合が定義されていないと算出できません。つまり戦略を考えていなければ、算出できません。
またマーケットシェアと利益性には高い相関関係があり、1位になると予想以上に利益性が良くなります( ランチェスターの法則)。
マーケットシェアは、企業存続の絶対条件です。

2.収益性(利益)
これはG(経常利益)です。
目標はあくまでもG、Gからの逆算です。PQ(売上高)で立ててはいけません。

3.革新
これは、企業の構造的変革の方向性です。
現状維持は衰退を意味します。
我が社の事業構造をどのように変化させていくのか?高収益体制をどう築いていくのか?

4.生産性
これは、結果指標です。目標と実績のチェックのために設定されるものです。
「一人当たり○○」で設定し、上記1〜3目標のそれぞれの成果について測定します。

5.人的資源
要員計画とともに、限られた人的資源を、どのような活動に、どのように配分するか?
重点主義で考えることが大事です。
また、質的資源と量的資源の両面で考えます。

6.物的資源
これは、一つは原材料であり、一つは固定資産です。
原材料の安定供給に対する方針、設備投資の方針です。

7.財源
これは、事業経営に必要な資金を、どのように調達していくか?資金調達の方針です。
長期借入金はもちろん、増資も含めて考えていきます。

8.従業員の生活と将来
これは、「賃金水準」の目標、「労務環境」の目標、教育の方針です。
従業員の生活と将来、あるべき姿をどう実現していくのかを考えます。

これらの目標は、当然、単年度で実現できるものではありません。
中長期の経営計画の中でこの未来像を実現する過程を示し、短期計画で具体的な行動を示します。そして、社員に開示して、実現に向けて共に行動する。
全てが詰まった中期経営計画は、社長の決意表明なのです。

それではまた。
Mauruuru

(参考文献:一倉定の社長学「経営計画・資金運用」)