Ia ora na!
差別化というと、全く別の商品、ゼロから仕様を考えがちですが、今あるもののサイズ、量を変えるだけでも大きな差別化ができます。今日は、そんな事例を紹介します。
コカ・コーラが、売上を伸ばしているそうです。
首都圏の一部スーパーでは、売上が前年同期比2割もアップ!
具体的に何をしたのでしょうか?
ズバリ、コカ・コーラの容量を細かくしました。
350ml、500ml、700ml、1.5ℓと細分化したのです。
中身は同じで容量を変えただけ。それにより売上がアップ!
そこには、日本コカ・コーラの緻密なマーケティング戦略がありました。
1.マーケットリサーチ
1)消費者の変化
・1世帯当たりの人数 1995年平均2.91人→2019年平均2.39人(▲0.5人)
(厚生労働省の国民基礎調査)
・単身や夫婦2人の世帯が5割超
・高齢化。「500mlだと飲み切れない。もう少しスリムなタイプがあれば買う」(50代女性)
2)TPO(時・場所・場合)
・購入場所によって飲む場所も変わることがわかった
スーパー:家で飲む人72%
コンビニ:買ってすぐ飲む人70%
・購入場所によって飲む場面も変わることがわかった
スーパー:家族と友人と分けて飲む人33%
コンビニ:自分用83%
・家で飲む場合と屋外で飲む場合で飲み方が違うことがわかった
家で飲む場合は活動量が多い屋外に比べ、ゆったりと飲むことが多い
一口で飲む量も屋外の8割程度
3)商品特性
・炭酸飲料は1度で飲み切れないと炭酸が抜けて、美味しくなくなる
2.ターゲティングとマーケティングミックス
1)スーパーのお客様
・500ml、1.5ℓの2種類の品揃えから350ml、700ml、1.5ℓの3種類に変更
・2人世帯向けに1度に飲み切れるサイズとして700mlを新たに提案
・家で飲む1人用として350mlを新たに提案
・一方で従来の1.5ℓは友人とのパーティー需要があるため残した
2)コンビニのお客様
・500mlは、屋外で飲む人を取り込むためコンビニ向けに残した
すると、テストマーケティングの結果、この1年で売上高は2割増と好調!!
「テスト結果を踏まえて今後の地域拡大を検討していく」そうです。
小さく始めて大きく育てる。進め方、展開の仕方も参考になりますね。さすがコカコーラ。
現在は首都圏の一部地域のテスト販売中であるため、実際に現場に行って価格設定等を調べることができませんでした。どう値づけしているのか?も気になります。機会を見つけて、調査してみたいと思います。
効果予想ですが、容量の細分化によって、
・既存顧客の購入数、購入頻度の増加(Qアップ)
・新規顧客(これまで量が多くて敬遠していた人、容量が購買基準となり他のブランドから切替えた人など)の獲得(Qアップ)
といったQアップはもちろん、
・価格戦略による平均単価の上昇(Pアップ)
も考えられ、MQ(限界利益)が上がっていそうですね。
このようなことって、結構身近にありませんか?
「もうちょっと少なければ(多ければ)いいのに」
「既製品サイズは小さくて(大きくて)合わない」
「こういう場面(例:個人、夫婦、家族など)では使いづらい」
我慢して使っている商品・サービスがまだまだあるということですね。
そこには、供給サイドが見えていない消費者の隠れたニーズ(宝)があるかもしれません。
「あなたの商品やサービス、サイズ・容量を変えることで差別化できませんか?」
それではまた。
Mauruuru
参考文献:日経MJ2021.1.11「消費を斬る ヒットの裏側」