納期遅れをどう考えていますか?

Ia ora na!
「納期遅れをどう考えているか?」
企業によって、その考え方は様々です。
あなたは、どう考えていますか?

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先日、ある企業様でTOC研修を行いました。
#4ゲームの時に、リードタイム短縮と極端な在庫削減を優先するあまり、途中で出荷が間に合わなくなりました。そして、「納期遅れもやむなし」の判断を結構あっさり下して赤チップ(納期遅れの印)を置いていました。
私は、この意思決定に強い違和感を覚えました。

TOC研修の評価に、DMQ(納期遵守評価、納期遅延損害金)というものがあります。
これは、赤チップ枚数(納期遅れの回数)×M(限界利益)で求めます。
ただ、この評価は今期の決算数字には影響しません。
そのため、先述の企業様では、今期の決算に影響する大幅な在庫削減と残業削減を優先、決算数字を少しでも良くしたかったのです。

確かに今期の決算数字は良くなりますが、果たして本当にそれでいいのでしょうか?
簡単に納期遅れをさせていいのでしょうか?
納期遅れは、お客様との約束を守れなかったということ。
お客様との信頼、信用はどうなってしまうのか・・・

私が勤めていた会社は、納期遵守に異常な程こだわっていました。ほんと、“異常”という言葉がつくレベルです。毎日、納期遵守率(指標)が工場全員に共有されていました。
ある時、ネジ1本を欠品させてしまい、このままでは製造、出荷ができず、1日だけ納期が遅れてしまう事態を招いてしまいました。
「申し訳ないが、お客様には1日待ってもらおう」。私は、そのことを上司に報告しました。
すると、「赤帽をとばしてでもネジを確保しろ。そしてお客様の納期を絶対に守れ!」と上司から指示がでました。
「え!?、ネジ1本数円のものですよ。そして、製品を販売しても数千円。それを何万円もかけて赤帽で運ぶんですか?どう見たって大赤字じゃないですか?1日我慢すれば届くのに・・・」
入社したばかりの私には、訳がわかりませんでした。
採算度外視?というか、これはもう採算の問題ではないのです。お客様との約束を守るの一点のみでした。
そして、このようなエピソードはこの1回に限りません。
「納期絶対遵守」は、いつ、いかなる時でもブレない一番の判断基準でした。
場合によっては、社員が新幹線を乗り継いでお客様のところへ製品をお届けするようなこともありました。
それほど「納期絶対遵守」が会社全体で徹底、浸透していました。いつしか私もその常識が当たり前の基準になっていました。
今思うと、とても素敵な判断基準であり、この会社から学んだ大切なものの1つです。

納期遅れは、短期の決算数字には現れません。また、短期の決算、採算だけを考えると、「納期遅れもやむなし」の方がいいのかもしれません。
しかし、長い目でみた場合、「納期遅れ」は絶対に起こしてはいけないのです。お客様との約束は第一優先。この納期遅れに対する会社の姿勢が、お客様からの信頼、信用につながる。そして、企業のゴールと合致するのです。

「あなたは、納期遅れをどう考えていますか?」

それではまた。
Mauruuru

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