財務分析は部分最適?

Ia ora na!
中小企業診断士の資格試験の勉強をしていた時、財務分析を知って「これはすごい!」と思いました。
その頃はまだサラリーマンで管理部門にいたので、決算書を読み解く武器を手に入れた感じでした。
しかし、経営コンサルタントとして12年が経った今、財務分析はほとんどしていません。逆に、弊害の方が大きいとさえ考えています。
その理由は・・・

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財務分析とは、決算書(PL、BS)を使って、その会社の経営内容を分析する方法。
収益性分析、効率性分析、安全性分析、生産性分析、成長性分析があります。
経営者はもちろん、金融機関や調査機関、投資家がその会社の経営状況を判断するための根拠として広く活用されています。
よくあるのは、3期分の期間比較や同業他社との比較、同業種平均値との比較です。

この財務分析、前述した収益性、効率性、安全性、生産性、成長性といったあらゆる角度から各指標を算出し、比較していきます。
ROAは…、 ROEは…、売上高経常利益率は…」
総資本回転率は…、売上債権回転率は…」
損益分岐点比率は…」
流動比率は…、固定比率は…、自己資本比率は…」
労働生産性は…、労働分配率は…」
「売上高成長率は…」
まだまだあります。
そして、そこから問題点を抽出し、改善策を検討していきます。

あらゆる角度からの分析により網羅的であるように見えますが、いくつかの大きな欠点があると思っています。
ひとつは、あくまでも過去のある時点を切り取っての分析であって、これからどうすべきか?未来を示すものではないこと。
ひとつは、結果の分析であって、プロセスは考慮されていないこと。
ひとつは、比率の指標が中心で、絶対額での比較ではないこと。
ひとつは、そもそも全部原価計算がベースとなっていて、経営の意思決定とはズレていること。
そして、最大の欠点は、細かく分解して分析した結果、それぞれの項目で問題点が指摘され、そこから導かれる改善策は部分最適になってしまい、結局は行動につながらない、つながったとしても大きな効果を得られないこと。
例えば、企業診断で「売上高経常利益率が低いのは、売上が〇〇で、原価率が〇〇で、販管費が〇〇で、金利負担が〇〇で」といったように、それぞれの指標で問題点が指摘され、それぞれで改善策が示されます。
しかし、経営は、これらをバラバラに意思決定しているわけではありません。すべてが繋がって、連動しています。それも時間差があります。こっちを変えたら、あっちも変わる。これが実態です。
経営システムは、インプットープロセスーアウトプットといった流れがあります。
そこに、「つながり」と「ばらつき」を内包しています。
それをアウトプットだけ分解して分析してしまうと、一番のボトルネックが見えなくなってしまいます。
財務分析は部分最適を助長してしまう恐れがあるのです。
それを強く感じたため、現在、私はあまり財務分析をしていません。
外部から求められた場合にだけ、行っています。
その際も、上記の欠点を認識した上で、必要に応じて、必要な指標を活用しています。

あなたも、もし専門家から財務分析を示されたなら、その専門家がどのような考えで行っているのか?注意しながらアドバイスを受けることをおすすめします。

それではまた。
Mauruuru

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