市場地位別マーケティング チャレンジャーの戦略とは?

Ia ora na!
市場地位別マーケティングの続きです。
前回お伝えしたチャレンジャーの差別化としてリーダーの内部事情を利用するという方法。
「これおもしろい。他の事例も教えて」というコメントをいただいたので、参考文献に掲載されている事例を紹介しますね。

ジョンソン&ジョンソン社の歯ブラシ「リーチ」の例。
「リーチ」は通常の歯ブラシよりもブラシの部分が小さい。
リーダー企業のライオンは歯磨き粉でもトップ・メーカーであったため、歯ブラシの主流がブラシ部分の小さなものになってしまうと、歯磨き粉の売上げが下がってしまう。だから同質化できなかった。
(引用:わかりやすいマーケティング戦略 沼上 幹著)

おもしろいですよね。
前回ご紹介したノンシリコンシャンプーといい、今回の歯ブラシといい、結構、身近にあるものです。他にもいろいろとありそう。この視点でいろいろ観察してみたいと思います。

それでは、今回はチャレンジャーの戦略定石について。

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まずは、攻撃的チャレンジャーの場合。
1.攻撃的チャレンジャーの戦略定石
・目標は、もちろんトップ・シェアの奪取
・基本方針は、差別化、先手必勝、スピード
チャレンジャーは、スピードでリーダーを出し抜かなければなりません。スピードという優位性がとても大事です。
セミ・フルカバレッジ&決定的セグメントへの集中
すべてのセグメントをカバーしては経営資源の豊富なリーダーには勝てないし、同時に少数のセグメントだけだとシェアは奪取できない。なので、若干狭めの市場(セミ・フルカバレッジ)をカバーします。
その時、オセロの四隅のような業界地図を変えてしまう決定的セグメントを見極めて、先手必勝で独自資源を集中投入し、そこで優位に立つことを目指します。
・機動的戦場変更による個別撃破
そうは言っても、決定的セグメントはリーダーも十分承知で死守してくるもの。なかなか攻撃できないかもしれません。その場合は、リーダーの支配権の弱い戦場に機動的に変更し、次々と個別撃破しながら順次支配権を奪っていく。まさにゲリラ攻撃を仕掛けていきます。
・4つのP(プロダクト、プライス、プロモーション、プレイス)のいずれか、あるいはすべてで差別化することが定石です。

次に、共生的チャレンジャーの場合。
2.共生的チャレンジャーの戦略定石
・目標は、確実で潤沢な利潤。業界の安定
・基本方針は、棲み分け。リーダー企業の客を奪わず暗黙の協調路線
「業界全体の売上高=需要量×単価」です。
成熟期で需要量が伸びない中でシェア争いをして単価を下げてしまったら、業界全体の売上高は低下してしまいます。市場シェア争いは、業界全体を構造的な赤字体質に陥れてしまいます。このような場合は、「チャレンジャーは常に攻撃的になるのが定石」とは考えず、リーダー企業と平和共存する道もひとつ。もちろんリーダー企業の動向によって動き方は変わりますが、リーダーにとっても協調路線は魅力的。できれば業界全体の供給能力を下げ、価格を上げたいものです。

チャレンジャーの定石をまとめましたが、いかがでしょうか?
「実際には、そんな定石通りには簡単にいかないよ」
「現実は違うよ」
その通りです。
ただ、定石を知っていると、自分の中に“ものさし”ができます。
実際の経営とそのものさしを比べることで、考えるきっかけができます。
定石というものさし、ぜひ持っておきましょう。

それではまた。
Mauruuru

(参考文献:わかりやすいマーケティング戦略 沼上 幹著)

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