日本経済のボトルネックって、どこ?

Ia ora na!
現在の日本経済のボトルネックって、どこでしょうか?

TOCでは、ボトルネックを次の3つだと定義しています。
物理的制約:人や設備などのリソースに起因するもの
市場制約:需要や顧客などの市場に起因するもの
方針制約:方針や慣習、常識などに起因するもの

菅政権になって大きく打ち出された方針は、
・省庁の縦割り打破と規制改革の推進
・携帯電話料金の引き下げ
地方銀行の再編、中小企業の再編促進
・政府のデジタル化

また、菅総理のブレーンとして竹中平蔵パソナグループ会長、デービッド・アトキンソン氏(元ゴールドマン・サックス取締役)がいますが、アトキンソン氏の提言は「中小企業を減らして企業規模を大きくし、生産性を引き上げること」です。
これらの政策は一見素晴らしいように見えますが、いわゆる「生産性向上」、競争を促進して供給能力を高めるものばかりです。
TOCで言うところの物理的制約に対する対策です。
しかし、現在の日本経済はどういった状況でしょうか?

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物価上昇率(コアコアCPI)の推移 情報:総務省統計局

物価がずーっと下落している、デフレ(デフレーション)です。
ちなみに、1997年と2014年に一時的に上昇しているのは、消費増税の影響です。
経済全体の需要(消費と投資)が供給に比べて少ない状況、「需要不足/供給過剰」でモノやサービスが売れない状態が続いています。失われた**年(もう20年近く…。私たちは、一体いつまで失い続けるのか?)。
その上にコロナ禍。企業は赤字、最悪倒産、労働者は賃金が下がり続け、最悪失業です。
そう、今の日本のボトルネックは市場制約なのです。

市場制約の時に行う政策は、需要創造です。
経済では、
財政支出の拡大(社会保障費、公共投資を増やす)
・公務員など公共で働く人の増加(大きな政府にする)
・減税(民間の消費や投資を促進する)
先行きが見えない状態で民間はなかなかお金を使えないので、政府自らがお金を使って需要を増やさなければなりません。
逆に、デフレ(市場制約)の時に供給能力向上、生産性向上の政策を取るとどうなってしまうでしょうか?
供給過剰がさらにひどくなってしまいます。今は、日本経済全体で見た場合、企業間競争や生産性向上は抑制すべき。構造改革規制緩和、再編はしてはいけないのです。
TOC的には、ボトルネックが市場にあるのに、社内の生産能力を上げることに集中している状態、これではいつになっても付加価値MQ(GDP)は上がらず、成長できません。それどころか、倒産に向かっていきます。

このように、一見、良さそうに思える政策も、ボトルネックがどこにあるかによってはマイナス影響を大きくし、問題を解決するどころか状況を悪化させ、場合によっては破綻へ導いてしまいます。

TOCは解決方法を教えてくれます。
「まずボトルネックを見つけてから、そこに集中すること」

振り返ると、この20年、正しいと思われた政策が実は間違っていたのではないか?
私たちは、解決策よりも、もっと「ボトルネックがどこなのか?」を認識しなければならないのではないか?

しかし、なぜこのような状態が20年以上も続くのでしょうか?
次回、MG、TOCの視点から考えてみたいと思います。

ボトルネックがどこかで、集中すべき解決策は違う」

それではまた。
Mauruuru