設備投資というものは・・・(2)減価償却の金融機能

Ia ora na!
前回、減価償却とその金融機能についてご説明しました。
今回は、金融機能をもうちょっと深掘りしたいと思います。

減価償却の金融機能とは、減価償却費が増えると税引後キャッシュフローが増加するというものです。
これは、どういうことか?具体例で見てみましょう。

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売上高が顧客より入金された時、売上原価や販管費はすでに支払い済み、法人税も支払い済みです。その時、手元に残っているキャッシュはいくらでしょうか?
機械の購入費用を耐用年数の期間に配分された減価償却費は損益計算書に費用として計上されるものの、資金支出はすでに済んでいるため支出の伴わない費用です。
これを考慮すると、手元に残っているキャッシュ(税引後キャッシュフロー)は、税引後利益+減価償却費となります。
 税引後キャッシュフロー=税引後利益+減価償却
この例で言えば、
税引後キャッシュフロー=500+1,000=1,500
となります。
この式から、減価償却費が大きくなればなるほど、キャッシュフローの額も大きくなることがわかります。

前回のブログの冒頭でお話ししたクライアント役員の悩み、
減価償却負担が大きくて利益が出ない・・・」
減価償却の金融機能を考えると、どうでしょうか?
確かに、減価償却費が大きいと利益は少なくなりますが、キャッシュフローの額は大きくなります。
利益が減っても、キャッシュは増える。良くないですか!?

極端な話、設備投資額の大きな会社は減価償却負担により赤字となる場合があります。
また、年度ごとの設備投資額の変動が減価償却費を通じて利益のブレの要因になります。
このような影響を排除し、設備投資から得られた成果としての利益が順調に成長しているかどうかを評価しなければ、正しい意思決定はできません。
そのためには、税引後利益で評価するのではなく、税引後キャッシュフローで評価するのが正しいのです。

代表的な評価指標として、
EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:イービットディーエー、イービットダー)というものがあります。
これは、税引前利益に支払い利息、減価償却費を加えて算出される利益です。
簡便的に算出する場合は、営業利益+減価償却となります。
設備投資額の大きな会社の収益性を評価する場合に使用されます。
これも覚えておいてもらうといいでしょう。

「設備投資額の大きい場合は、利益ではなくキャッシュフローで評価する」
ぜひ減価償却の金融機能を知っておいてください。

それではまた。
Mauruuru

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