Ia ora na!
何かの制度が決まる時は、その背後に誰かの思惑があるもの。
会計における「減価償却」もそうだったみたいです。
そもそも経営の目的は、「儲け」です。
それを支える会計は「お金の計算」から始まりました。会計は銭勘定が原点。
それは、「収入-支出=収支」の計算式が基本でした。
MG(マネジメントゲーム)でいうところの第1表資金繰り表ですね。
「儲け」とはお金が増えたかどうか。これって、当たり前の感覚ですよね。
しかし、あることがきっかけとなり、会計がその収支計算から離れ、儲けの計算から「収益-費用=利益」という小難しい体系へ進化?していきました。
それは、産業革命による鉄道がきっかけだったそうです。
鉄道会社が減価償却の採用を開始しました。
なぜか?
それは、鉄道事業というあまりにも巨額な固定資産投資に対して、この支出をそのまま処理してしまうと、「投資した期は大赤字」になってしまいます。反対に「投資がない期は黒字」になります。これだと「いつの時期に株主だったか」で配当に不公平が生じてしまうという問題が発生してしまいます。
「蒸気機関車」の登場で熱狂する株式市場、多くのお金を集めるためには鉄道会社は株主の期待に応えなければなりません。安定的に配当できるようにするには、儲けを「平準化」できればいい・・・
「減価償却」という新ルールの誕生です!!
減価償却によって、「設備投資をしても株主に配当できる」ようになりました。
このように、もともと「儲け」(お金が増えたか?)が経営の目的であったのに、それを支えるはずの会計は「利益」で評価するという、ちぐはぐな事態へと変化していきます。
会計が、経営者のためのものから株主のためのもの(お金を集めるためのもの)に目的が変わっていったんですね。
「儲け」と「利益」は違う!
この認識は、本当に大事だと思います。しかし、多くの方がこれを混同してしまっています。
何かの制度が決まる時は、その背後に誰かの思惑がある。
誰のどんな思惑なのか?
減価償却は、経営者のお金を集めるための思惑によるもの。
こんな視点でものごとを見るのも面白いですね。
それではまた。
Mauruuru
(参考文献:「会計の世界史」田中靖浩著)