設備投資というものは・・・(3)減価償却の金融機能

Ia ora na!
今回も減価償却の金融機能について。
前回のブログに対して、いくつかコメントをいただきました。
ありがとうございました。
特に、設備投資の原資となる長期借入金の返済について、コメントが多かったですね。

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こんな定石があります。
「設備投資額は、その期の減価償却費と同額にする」
これはこれまで述べてきた減価償却の金融機能がわかれば、理解できます。
要は、減価償却費の範囲内であれば、新たな資金を調達してこなくても減価償却費分のキャッシュは残るので投資できるということです。
減価償却で減った分を投資で増やしていきますので、常に安定した状態を保てます。
しかし、これはあくまでも通常の設備投資の場合です。絶対にこれでなければならないということではありません。積極的な事業を展開していかなければならないときは、減価償却費を上回る投資も当然あります。その時大事なのは、長期計画です。
また、償却年数の長い投資(回収に時間のかかる投資)と短い投資は区別して計画、運営、管理することが大事です。
定石は知っておくべき。一つの物差しとして、押さえておいてください。

減価償却費の運営について、もうひとつ。
財務会計の原理原則、経理の常識では、「法定耐用年数」に従って償却します。
これは税法上、決められているものです。
しかし、この法定耐用年数、経営者からすると納得できない場合が多くあります。
どういうことかというと、変化の激しい事業環境の中で、設備の陳腐化が早くなっています。実際に使えるのがせいぜい5年、持って6年というのが精一杯であるのに、税法上は12年で償却という場合です。

「決算処理上6年で償却したとしても、税法上は12年で償却しなければならない。だから、もしそうすれば最初の6年は償却が増えて利益は減る。ところが、税金計算では法定耐用年数の12年での償却となるので利益は減ってもその分の税金は減らないことになる。いわゆる税金を払って償却する有税償却になる」
(引用:「稲盛和夫実学 経営と会計」 稲盛和夫著)

これって、どう考えますか?

稲盛さんは、
「たとえ、実務上の常識がそうであったとしても経営や会計の原理原則に従えば、有税であっても償却すべきである。6年でダメになるものを12年で償却したら、使えなくなっても償却を続けることになる。すなわち実際に使っている6年間は償却が過小計上されており、その分があとの6年へと先送りされていることになる」
「『発生している費用を計上せず当面の利益を増やす』というのは、経営の原則にも会計の原則にも反する。そんなことを毎年平然と続けているような会社に、将来などあるはずがない。『法定耐用年数』を使うという慣行に流され、償却とはいったい何であり、それは経営的な判断としてどうあるべきなのか、という本質的な問題が忘れられてしまっているのである」
(引用:「稲盛和夫実学 経営と会計」 稲盛和夫著)

このことからも、やはり財務会計管理会計は違うということですね。
この違いを経営者は認識して、“利益”とは何か?、何を持って意思決定すべきか?を見誤らないようにしなければならないと感じました。

それではまた。
Mauruuru

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