管理の精度とは何か?

Ia ora na!
先日のクライアントの会議での出来事。
その会社の6人の営業マンは、自分が担当している案件のすべてを、個々に得意先別にエクセルの表に細かく入力し”管理”していました。

私はそれにとても違和感を感じました。
「上は数千万円、下は数千円単位の案件全てを同一で手入力管理する目的は何ですか?」
「たいへんではないですか?」
と訊ねてみると、
「その表をもとに、担当別の受注、売上、回収の予実管理をしている」
「時間がかかりたいへんだけど、やらないと管理できない」
との応えでした。
“管理”とは一体何でしょうか?

「予実管理」とは、予算と実績の差額を把握すること。
これに関しては、私も異存はありません。必要なことです。
しかし、何のために予実管理をするのか?
早期に差額の原因を掴み、早期に対策を打つためです。
その目的に照らし合わせた場合、千円単位の細かい案件までひとつひとつ手入力する必要があるのか?
6人の営業マンがかける労力の割に、得られる結果(数字精度)は変わらないのではないか?
これが私の違和感です。

パレートの法則、重点指向、いわゆる2:8の法則という考えがあります。

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忘れてならないのは、(時間がかかるのではなく、自分たちで)「時間をかけている」ということ。
(6人もの営業マンの)時間というリソース(資源)を投入しているのを忘れてはいけません。
それだけの効果があるのか?
ややもすると、管理の目的からズレ、精度を上げる=細かく管理することと勘違いしてしまう。その結果、データ入力に時間をかけ、実績金額の千円レベルまでの精度を上げることに注力し、その精度に満足してしまい、肝心な予実差異がわかった時点では時間が足りなくなり、対策ではなく理由・言い訳を考え、ひどい場合は計画を下方修正してしまう・・・
しかし、本来の目的からすれば、時間をかけるべきところは、どうやって目標との差額を埋めるか?の対策と行動です。

決して精度が粗くていいと言っているのではありません。
投入時間と精度・成果のバランスが大事だということです。
また、経営のための数字と経理のための数字では、管理の目的、精度の意味が違うということです。

これは、このクライアントに限った話ではありません。
誰もが陥ってしまうことです。特に部門ごとに取りまとめている資料などは、求める精度と投入時間のバランスが年数を重ねていくと、いろいろと要求事項が増えていつの間にか崩れていきがちです。
「投入時間と精度・成果との関係、そもそも管理とは何か?」
定期的に見直す必要があります。ぜひ一度自社の状況を見直してみてください。

それではまた。
Mauruuru