TOC利益力改善セミナー2021〜方針制約編〜を開催しました

Ia ora na!
5月22日(土)〜23日(日)、TOC利益力改善セミナー2021〜方針制約編〜を開催しました。12名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
今回は、公開講座としては初!!「方針制約」について、みんなで学びました。

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1日目は、サイコロを使ってのシミュレーション・ゲーム。
部分最適全体最適の違いについて、これほどはっきりと体感できるものはないですね。
今回も大いに盛り上がりました!

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2日目の講義は、方針制約について。
せっかくTOCの考え方や方法を学んでも、いざ社内に導入しようとすると、なかなか現場の人に受け入れてもらえなかったり、うまく伝わらなかったり・・・こんなことって、よくありますよね。
人の頭の中にあるボトルネックが邪魔をするんです。
それをどうやって解決するのか?を学びました。

頭の中の見える化の方法を学び、最後には、全員が野心的な目標に対してロードマップを完成させ、明日から実行できる状態までになりました。すばらしい!!

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感想文でも、とても多くのフィードバックをいただきました。
・まさに、今、自社で抱えている“どうやって問題を共有していくか”のヒントがたくさんあり、これからの自社の取組にとても刺激を受けました。
・明日から取り組んでいくこことが明確になり、今からワクワクが止まりません(笑)。
・いかに世間の常識に染まっていたか、痛感させられました。
・方針制約については、自身が直面している公私の課題について適用できると確信できるくらいに衝撃的なものでした。
TOCを導入しようとすると、社内で衝突が起こりました。方針制約を学んで原因がわかりましたので、変化に対する抵抗の6階層を意識して導入していきます。
・人の頭の中にもボトルネックがあるということを学び、自分自身の考え方や他人を巻き込む必要があることを知りました。
・人と意見や考えが合わないことや仕事仲間に納得してもらうのにはどうしたらよいかと悩んでいました。方針制約を学び、ツールを活用した時に、思い込みで仕事をしていたり、当たり前で思っていたことが実は間違いだったと気づけるということが非常に参考になりました。
・自分自身がボトルネックになっているため、自分の仕事のあり方における無駄を排するとともに、事務員により仕事を配分できるよう仕組み作りをしていく大切さに気づきました。
・変化に対する抵抗の6階層として、問題自身を正しく共有化するところから始めなければいけないことを学びました。

受講いただいたみなさん、貴重なご意見やご感想、ありがとうございました!!
絶対達成しましょう!!

次回のTOCセミナーは、7月24日(土)〜25日(日)に開催いたします。
テーマは、「市場制約」。
こちらも公開講座では初!!
ぜひ楽しみにしていてください。

それではまた。
Mauruuru

〈直近のセミナーのご案内〉
・6月19日(土)-20日(日)第26回うどん県MGセミナー2021 満席御礼!!
・7月24日(土)-25日(日)TOC利益力改善セミナー2021
・8月21日(土)-22日(日)第27回うどん県MGセミナー2021 満席御礼!!
・10月16日(土)-17日(日)第28回うどん県MGセミナー2021 満席間近
・12月18日(土)-19日(日)第29回うどん県MGセミナー2021

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蒸発する雲で対立を解消!? 農家の事例

Ia ora na!
ビジネスに限らず、日常で意見が対立することってよくありますよね。
そんな時、妥協したり、強制したり、どっちつかずだったり・・・。
いずれにしても、モヤモヤした気持ちになりますよね。
そのモヤモヤを解消する、ブレークスルーできる方法があるんです。
TOCの思考プロセスで使うフレームワーク「蒸発する雲(Evaporating Cloud)」。
それって、一体どんなものか?


2012年にご支援した農家のお話。
近隣農家を取りまとめているリーダー的存在の方からご相談をいただきました。
このリーダーは、ある野菜のトップ農家であり、栽培ノウハウはもちろん、多くの販路、新商品開発力をお持ちでした。
収穫量を増やすため、近隣農家にも呼びかけ、栽培してもらい、みんなで豊かになろうと一生懸命頑張っていました。

ある時、問題が発生!!
生産されるものの品種に偏りがあり、また数量もまちまちで、お客様が要求する品種、数量を確保できないという事態が起きてしまいました。
リーダーは、近隣の農家に協力を要請しましたが、一向に解決しません。
このままではお客様の満足を満たすことができず、せっかく確保してきた販路を失ってしまいます。どうしたらいいのか?
そんなこんなで、私のところに相談がありました。
そこで私は、「蒸発する雲(クラウド)」を使って、問題を整理してみました。
当時作成したものがこれです。


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みんな、「A:幸せな人生を送る」という共通目的を持っています。個々の農家がグループとなって協力してこの目的を達成しようと考えており、全員一致しています。
当然、幸せな人生を送るためには、「B:自分の生活を豊かにする」という主張要望があります。そして、そのためには、「D:自分だけで頑張って生産する」という行動になります。
一方で、幸せな人生を送るためには、「C:お客様を満足させる」という主張要望があります。そして、そのためには、「D’:組織的に生産して、お客様の要求品種、品質、数量を絶えず満たさなければならない」という行動が求められます。

共通目的Aは全員一致しているのに、最終的な行動では対立してしまい、Dという行動となっている。
なぜ、この対立が起きてしまっているのか?
分析してみると、原因は「買い取り制度」にあることが判明しました。
個々の農家は、収穫量に比例して収入が増えるので、作りやすいものをたくさん作って買い取ってもらおうという行動になっていたのです。
それにより、ある品種に偏ってしまったのです。
そこで、この買い取り制度を見直し、個々ではなくグループで協力してお客様を満足させられるような制度設計になるようアドバイスしました。
そうすることで、Bの主張要望もCの主張要望も同時に達成することができるようになったのです!!

このように、対立の構造を見える化すると、なぜこの対立が起きてしまったのか?ブレークスルーできないか?が見えてきます。
今週末のTOCセミナーでは、これを具体的に活用できるようになっていただきます。
ご参加いただく方は、ぜひ楽しみにしていてください。

それではまた。
Mauruuru

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「それは変動費では?」問題はそこじゃない!!

Ia ora na!
あるクライアントの経営会議での出来事。
私が月次収益について状況報告していた時、同席していた金融機関の方から、
「先生、それは変動費ではないのですか?」との質問が出ました。
「キター!」と、私は心の中で叫びました。よくある光景だからです。そして続けて、
「問題はそこじゃないんですよ!!」と、これまた心の中で叫びました(笑)。

会計を勉強した人や専門家が陥る罠。そのひとつが、この「固変分解」。
費用を固定費と変動費に分ける作業のことですが、これを仔細に分類しようとするのです。
実際、教科書には、固定費、変動費だけでなく、準固定費、準変動費なるものまで出てきたり、分類する方法が①個別費用法(勘定科目法)、②総費用法(二期間比較法)、③数期間法(スキャッターグラフ法)、④最小二乗法、⑤混合法と何種類もあったり、異常なほど細かく精密に分類しようとします。

私も当初はそうでした。
「これはどっちに入れるべきか?」
「もっと精度を上げるためにはどうすればよいか?」
「細かく管理してデータを分けられないか?」
精度を上げることが重要と考えていました。
しかし、今ではまったく気にしていません。なぜか?
長年クライアントと一緒に現場に立ってコンサル経験して、現場では無意味なことであり、問題はそこじゃないと分かったからです。

理由は2つ。
①教科書に載っている固変分解はどれも「過去こうだった」という過去の数字を分析するためのものであり、いくらその精度を上げてもあまり意味がない。経営にとって一番大切な「これからどうするか?」未来に対する意思決定には全く使えない。実用性がない。
②固変分解の争点の領域はそもそも数%の話。意思決定で誤りを起こさない程度…95%の精度(2σ)。5%のエラーは許容範囲である。実務では固定費を多くする分、損益分岐点比率は実際よりも高くなり、安全サイドに振れるので問題ない。

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そこにエネルギーを注ぐよりも、早く数字をつかみ、先を読むことに注力する方が何十倍も何百倍も重要なのです。

「精密度よりも信頼度、実用性」
「過去よりも未来」


「先を読むため、早い意思決定のために何が必要か?」
目的から考えれば、全然必要のない論点であり、逆に弊害になっている。
このように、実務から離れるとどうしても部分最適に陥りがち、重箱の隅をつつくようになりますね。こういうことって、他にもたくさんありそうです。
常に現場目線で目的を考えることが大事ですね。

それではまた。
Mauruuru

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社員に優位感を持たせる

Ia ora na!
野村克也氏がヤクルトの監督1年目に、「弱者の戦法」のひとつとしてやったことに、トリックプレーがあるそうです。
この作戦は、相手チームに警戒感を与えるだけでなく、それ以上に味方選手に効果を発揮します。
「うちは他のチームより進んだ野球をやっている」という優位感です。
さらにデータをもとに具体的な攻略法を授けると、「それならおれにもできそうだ」という気になる。
弱いチームは、戦う前から「自分たちは弱い」と思っており、巨人と対戦すると、劣等感で勝負する前にびびってしまっていました。
ところが、優位感をもたせたことで、選手が変わってきたそうです。
相手の作戦に対し、ヤジも「そんなの古い、古い」という声が!!
相手を見降ろしている証拠、おのずといいムードに変わっていったそうです。
その後、大きな補強もせず、多くの優秀な選手がFAで流出する中、毎年優勝争いに絡んでくる強豪チームになっていったのです。
その理由は、「ヤクルトの野球は他のチームより進んでいる」という優位感にほかなりません。

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私も含め中小企業は、ヤクルトと似ているなぁと感じました。
「うちには◯◯がない」
「うちのレベルではムリ」
「中小企業だから・・・」
戦う前から、経営者も社員も劣等感でびびってしまっています。私もそうでした。
これでは、ビジネスをする前から結果が見えています。
それを変えるためには、「優位感を持たせる」

「うちは大企業より進んだ経営をやっている」
「それならおれにもできそうだ」
この状況を作ればいいのです。
ここでのポイントは、経営資源の過不足は優位感に全く影響しないということ。
圧倒的に経営資源の少ない中小企業でも優位感を持たせることができるのです。
優位感によって、強い会社にすることができます。指揮官の腕の見せ所ですね。

例えば、
経営の仕組みを構築する → 「うちは大企業より進んだ経営をやっている」
データをもとにした具体的な意思決定 → 「それならおれにもできそうだ」

「MGとTOCを勉強すると、自然と優位感を持たせることになるなぁ」
「何を持っているか?の経営資源よりも、どうあるべきか?の士気が大事だなぁ」

優位「性」ではなく、優位「感」。

どう感じるか?なんですね。
やっぱり、方針制約が一番のボトルネックなのかもしれませんね。
どんどん調子に乗った方がいい!!

「優位感を持たせる」
あなたもぜひ意識してみてください。

それではまた。
Mauruuru

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脱個人商店への秘策とは?

Ia ora na!
仕事を個人に割り付けて、会社なのに個人商店の集まりになっている。
こんな会社を多く見ます。
個人商店からチーム力へ、部分最適から全体最適へ、変えるために取った秘策とは?

本日のクライアントとの会議での話。
TOCを学んで全体最適の重要性を知った社長、経営幹部たち。
ぜひ自社の生産管理にも活かしたいのだけれど、そもそも製造現場は得意先ごと、仕様ごとに担当分けされており、なおかつ職人気質の強い人たちばかり。
ベテランと若手がバラバラで、ベテランは自分の仕事は他人に触らせたくない、また相手にも干渉しない。若手に負荷が集中していても関係なし。
生産性も上がらないし、不満も募っています。
このような個人商店の集まり、部分最適の状態を、どうやってチーム力、全体最適に変えていったらいいのか?との相談を受けました。
そこで、私は次の秘策を提案しました。
それは、「フォーク」です。
「フォーク」とは一体・・・

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「フォーク」とは、仕事の流し方の仕組みのひとつ。
よくコンビニやATMで見かけるものです。
昔はレジごとに並んでいましたが、今は一列に並んで空いたレジに移動するようになっています。まるで「フォーク」の形のように。
これにより、全員の待ち時間を劇的に減少させることができるようになりました。

この仕組みを生産管理にも応用して、仕事を個人に割り付けないようにする。
具体的には、次のようなホワイトボードを作成することを提案しました。

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このポイントは2つ。
・未着手の仕事を、個人ではなく部門に割り付けた(フォーク)
・担当を、ベテランと若手のペアにした

これにより、今の進捗、負荷量が誰にでも一目でわかるようになるだけでなく、部門共通の仕事として部門(チーム)で仕事を終わらせる意識になってもらい、またベテランと若手がペアになることでより助け合い、OJTを促すようにする。
全体の手待ち時間が最小になり、その上、助け合いも促す。まさに全体最適!!
脱個人商店への秘策となります。

もちろん、これを運用するのは、簡単なことではありません。
これまでとは全く仕事の流し方が変わるので、混乱や動揺、不満が起きます。多能工ができていないことも露呈するでしょう。
でもそれでいいのです。問題が見えるようになっただけのこと。
今から将来に向けてチャレンジすべきこととして、受け止めればいいのです。
あとは、トップの「やり切る」決意が大事!!

あなたも、もし同じ悩みがあるのなら、ぜひ試してみてください。

それではまた。
Mauruuru

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新事業におけるTOC的思考

Ia ora na!
TOCは製造業のためのものと思われがちですが、実は業種に関係なく活用できるんです。
先日ご相談を受けた企業のお話。
新しく事業を始めるに当たっての経営計画についてのご相談でした。
経営計画の内容を確認すると、そこに大きな問題を見つけました。
このまま間違った意思決定をしていたら、新事業は大失敗になる恐れも。
その間違った意思決定とは・・・

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新規事業とは、お店を出店するというもの。
お店のスペース、客席数、設備、駐車スペース、スタッフ数などなど、あらゆる経営資源への投資が必要です。
その経営資源への投資について、経営者は個々に平均値を土台として計画を立てていました。

これは、一般的には、「緻密で完璧な計画」=「バランスの取れた計画」と見えます。
時間をかけて、本当によく調べ、練られていました。
しかし、残念ながら、実際には計画通りにはうまくいきません。
平均値を土台とした計画は、顧客需要を満たすことができず、ひどい結果をもたらします。
なぜなら、平均値は、あらゆる経営資源について、その余裕(バッファー)を少なめに少なめに見積もることになるからです。
まさに、“机上の空論”となってしまうのです。

そして、その根底には「コストダウン思考」という考え方があります。
「なるべく費用を抑えて計画したい」
そのこと自体は悪いことではありませんが、部分部分を切り取ってコストを見直していくと、それがいつの間にか主目的となり、一番大事なMQ(限界利益)を増大させるということがどっかへ吹っ飛んでしまうのです。
ビジネスは一連のフロー(流れ)です。
そこには、「つながり」「ばらつき」が内包されています。
「つながり」と「ばらつき」によって、「部分の合計は、全体最適にならない」のです。

このことをお伝えすると、経営者の方もご理解いただき、経営計画を見直すこととなりました。よかったです!!

このように、TOCは製造業に限らず、あらゆる業種に当てはまります。
TOCとは、考え方、原理原則であり、何にでも応用できるのです。

この考え方、TOCでは「思考プロセス」と言います。
思考プロセスを実際の経営で活用していただきたい。
そのためのセミナーを、今月(5/22-23)開催いたします。
もしご興味がありましたら、ぜひご受講ください。

それではまた。
Mauruuru

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市場地位別マーケティング チャレンジャーの戦略とは?

Ia ora na!
市場地位別マーケティングの続きです。
前回お伝えしたチャレンジャーの差別化としてリーダーの内部事情を利用するという方法。
「これおもしろい。他の事例も教えて」というコメントをいただいたので、参考文献に掲載されている事例を紹介しますね。

ジョンソン&ジョンソン社の歯ブラシ「リーチ」の例。
「リーチ」は通常の歯ブラシよりもブラシの部分が小さい。
リーダー企業のライオンは歯磨き粉でもトップ・メーカーであったため、歯ブラシの主流がブラシ部分の小さなものになってしまうと、歯磨き粉の売上げが下がってしまう。だから同質化できなかった。
(引用:わかりやすいマーケティング戦略 沼上 幹著)

おもしろいですよね。
前回ご紹介したノンシリコンシャンプーといい、今回の歯ブラシといい、結構、身近にあるものです。他にもいろいろとありそう。この視点でいろいろ観察してみたいと思います。

それでは、今回はチャレンジャーの戦略定石について。

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まずは、攻撃的チャレンジャーの場合。
1.攻撃的チャレンジャーの戦略定石
・目標は、もちろんトップ・シェアの奪取
・基本方針は、差別化、先手必勝、スピード
チャレンジャーは、スピードでリーダーを出し抜かなければなりません。スピードという優位性がとても大事です。
セミ・フルカバレッジ&決定的セグメントへの集中
すべてのセグメントをカバーしては経営資源の豊富なリーダーには勝てないし、同時に少数のセグメントだけだとシェアは奪取できない。なので、若干狭めの市場(セミ・フルカバレッジ)をカバーします。
その時、オセロの四隅のような業界地図を変えてしまう決定的セグメントを見極めて、先手必勝で独自資源を集中投入し、そこで優位に立つことを目指します。
・機動的戦場変更による個別撃破
そうは言っても、決定的セグメントはリーダーも十分承知で死守してくるもの。なかなか攻撃できないかもしれません。その場合は、リーダーの支配権の弱い戦場に機動的に変更し、次々と個別撃破しながら順次支配権を奪っていく。まさにゲリラ攻撃を仕掛けていきます。
・4つのP(プロダクト、プライス、プロモーション、プレイス)のいずれか、あるいはすべてで差別化することが定石です。

次に、共生的チャレンジャーの場合。
2.共生的チャレンジャーの戦略定石
・目標は、確実で潤沢な利潤。業界の安定
・基本方針は、棲み分け。リーダー企業の客を奪わず暗黙の協調路線
「業界全体の売上高=需要量×単価」です。
成熟期で需要量が伸びない中でシェア争いをして単価を下げてしまったら、業界全体の売上高は低下してしまいます。市場シェア争いは、業界全体を構造的な赤字体質に陥れてしまいます。このような場合は、「チャレンジャーは常に攻撃的になるのが定石」とは考えず、リーダー企業と平和共存する道もひとつ。もちろんリーダー企業の動向によって動き方は変わりますが、リーダーにとっても協調路線は魅力的。できれば業界全体の供給能力を下げ、価格を上げたいものです。

チャレンジャーの定石をまとめましたが、いかがでしょうか?
「実際には、そんな定石通りには簡単にいかないよ」
「現実は違うよ」
その通りです。
ただ、定石を知っていると、自分の中に“ものさし”ができます。
実際の経営とそのものさしを比べることで、考えるきっかけができます。
定石というものさし、ぜひ持っておきましょう。

それではまた。
Mauruuru

(参考文献:わかりやすいマーケティング戦略 沼上 幹著)

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