I T化で生産性低下?

Ia ora na!
今日は、IT化について。
IT化とは、機器やツール、インターネットを活用して、仕事の手間や手順を減らした状態を作ること。生産性向上のための有力な手段であり、中小企業、小規模事業者等がITツールを導入するための補助金もあります。
しかし、実際の現場では・・・

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先日、あるクライアント(建設業)でのこと。
現場の社員一人一人にタブレットを配布し、IT化による生産性向上を図ったものの、経営者としてはイマイチ効果を実感できていませんでした。
そこで、実態を調べてみると、逆に、手間が増え、ミスが増え、時間がかかり、生産性向上とは程遠い実態が見えてきました。

具体的な利用状況は、
①リーダーが、エクセルで2週間分の現場計画を立てる
②リーダーが、それを、担当者ごとに、グループウェアのカレンダーに入力していく
▲しかし、入力負荷が大きいので、2日分の計画しか入力できていない
③担当者は、現場でタブレットを見て、作業を実施。終了後に、グループウェアに日報を記録する
▲当然、当日と翌日の予定しか見えていない。また、他の人の予定、負荷状況も見えていない
④リーダーは、その実績内容をエクセルに反映させる
▲しかし、入力忘れをしている担当も多く、確認作業、後追いがたいへん
⑤月末になると、経理担当がグループウェアの個人のカレンダーを一つ一つ見て、日報からデータを拾い出し、給与計算のための時間集計を行う。その後、給与システムに入力する
▲見づらい、不備多い、手間かかる、間違うリスク高い、ストレス・・・

実態は、「今までの仕事の流れに、無理矢理、タブレットを入れ込んだ」そんな感じでした。
タブレットを入れ込んだ分、仕事が増えた。同じデータを何回も入力し直す、「転記」作業が増えた。
「転記」は最悪です。入力負荷が増大するだけでなく、入力ミスの可能性も高まり、仕事の品質が低下します。仕事の品質が低下すると、それを抑制するために検査・チェックの工数が増えていく。時間がない、人が足りないという悪循環。

さっそく改善に乗り出しました。まずは、現状の仕事の流れを整理し、問題点を共有、その上であるべき姿、全体最適の視点で仕事の流れ、情報の流れを再設計しました。
基本は、「一回入れたデータは、二度と入力しない」。転記の排除です。
作業時間が大幅に削減できる見通しが立ちました。
さらに、上記の▲(問題点)も一気に解消できそうです。
タブレット活用による生産性向上が見えました!これからの改善活動が楽しみです。
結果については、またブログで報告したいと思います。

これは、この企業だけの特別な話ではありません。今回の事例は、まだ軽微な方です。
多額の投資(数百万円〜数千万円)をしているのに、現場では逆に手間が増え、ミスが増え、残業時間が増え、情報精度が低下し、生産性が悪化する。
多くの中小企業が、このような事態に陥っています。
その原因は、IT導入という手段が目的化しているため。
なぜITを導入するのか?何を改善するのか?
目的の明確化と仕事の流れの再設計が大事です。

「IT化が目的になっていないか?」

それではまた。
Mauruuru