生産性と中小企業数の関係

Ia ora na!
菅政権が中小企業基本法の改正を進めています。
日本の生産性が低いのは中小企業数が多いからという考えで、中小企業数を減らそうとしています。
その論拠はこうです。
国の生産性を決める最大の要因は「産業構造」にあり、経済学で言う「規模の経済」から大企業の生産性>中小企業の生産性が成り立つ。よって、中小企業は潰してしまう。同時に規制緩和して大企業や外資系企業は優遇し将来性のある中小企業や残った中小企業をひとまとめにしてM&Aさせる。
簡単に言うと、「規模を拡大させて経営の効率化や生産性の向上を図る」というもの。
本当にそうなのでしょうか?
現状を調べてみました。

まずは、日本の中小企業数について。
我が国の企業数の推移を確認すると、年々減少傾向にあり、直近の2016年では359万者となっています。このうち、中小企業は358万者であり、その内訳は小規模企業が305万者、中規模企業が53万者となっています。

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出典:2020中小企業白書

1996年の時は中小企業は507万者ありました。この20年間で149万者(29%!)もなくなったことになります。減少が止まりません。
良くも悪くも、政府が何もしなくても、自然と激減してしまっています。

それに対し、我が国の成長はどのような推移となっているのでしょうか?
名目GDPトップ5の推移で見てみると・・・

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資料:GLOBAL NOTE 出典:IMF


1995年までは経済成長していましたが、1995年を境に、日本だけが成長が止まっています。
四半世紀も横ばいという、異常状態です。

「中小企業数は減り続けている(激減)のに、経済成長していない」
このデータから、中小企業数と生産性の因果関係、本当に中小企業数の多さが生産性が低い原因なのでしょうか?
また、「規模の経済」が要因というならば、過去の日本の経済発展はどう説明されるのでしょうか?

こんな状況の中、さらに中小企業を減らす政策が取られることが本当にいいのか?
我が国経済の悪化に追い討ちをかけるとしか思えません。
菅政権のブレーンであるデービッド・アトキンソン氏は、「360万者の中小企業の内、140万から150万者程度を残せばよく、残りは淘汰されるべき」と言っています。
それだけの中小企業が潰れたら、失業者があふれます。
失業者は働きたいのに働けない。意欲や能力があるのに働けない。
国にとっては、労働力という資産を有効活用できていない、言わば遊休資産の状態。
生産性向上どころか、かえって非効率、生産性低下に陥ります。
生産性が向上し儲かるのは、一部の大企業や外資系企業だけ。
また、地方経済を支えているのは大企業ではなく中小企業であることも忘れてはなりません。
中小企業が潰れたら、地方も潰れていきます。
生産性が低いのは、中小企業数ではなく、他に原因があるのです。
それについては、また別の機会に書きたいと思います。

「中小企業数を減らす政策が取られてよいのか?」
ぜひみなさんも考えてみてください。

それではまた。
Mauruuru