無印良品の地域密着戦略

Ia ora na!
今日は、無印良品の地域密着戦略です。
ネット通販全盛の中で地方中小企業がどう戦うか?
戦い方の一つとして参考になる事例です。

8月27日のブログ「コンビニの地域密着への戦略転換」

ko-manage.hatenablog.com

に書いたように、地域密着は多くの小売業が目指していますが、品揃えの変更レベルに止まっています。
それに対し、無印良品はもっと突っ込んだ地域密着戦略を仕掛けています。
その内容は・・・

「高齢化や中心市街地の空洞化、1次産業の衰退……。生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画が、地域の課題解決につながる店づくりを進めている。新潟県上越市に開いた巨大店舗は、地域再生の拠点を目指す。そこには、ネット通販全盛の時代にあっても店舗が生活に不可欠であることを証明しようとする強い意志がある。無印良品の挑戦から、コロナ禍で存在意義が問われる小売業の未来が見えてきた。」
(引用:日経MJ 2020年8月16号)

新潟・上越のイトーヨーカ堂退店跡に出店。「無印良品 直江津」は、人口約19万人の地方都市で無印の最大店舗を開業。
移動販売、店舗への送迎、書籍売り場、地元直売所との連携、住民が交流できるフリースペース、団地リノベーション、「MUJIパスポート」アプリ活用などなど

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日経MJ2020/8/16

この記事の中で気になるキーワードを抜粋すると、
・地域の課題解決につながる店づくり
地域再生の拠点
・”くらしの真ん中になる”をコンセプトに掲げる
・地域の活性化を目指す
・地域で求められる店舗は何かを考えてきた
・今後は店舗が物理的に生活に近づきながら、出店を広げる構想
・「感じ良い暮らしと社会」へ向けて、小売業の枠を超えて地域に貢献する事業を続ける
・土着化、地域に根ざした個店経営、それらを足し集めた結果として世界水準の高収益企業になりたい
・チェーンオペレーションをするための「店長」ではなく、地域に一体になって巻き込まれていくような「コミュニティマネージャー」にしていかないといけない

地域、地域、地域・・・
「モノ」を売るのではなく、「地域の問題解決」を図ることを事業領域としていくことが窺えます。品揃えの変更レベルを超えています。

MQ視点で見ると、
・人口約19万人ですが、競合が少なくマーケットシェア、占有率は高い
・地方で、投資・F4(戦略費)があまりかからない
・Pは定価、Vは無印のスケールメリットで低く、Mは高い
・Qは密着軸戦略で買上点数、購入頻度、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)とも高い
・よって、MQ(限界利益)>F(固定費)との考えではないでしょうか。

経営資源の視点で見ると、密着軸では以下の要素が必要となります。
【密着軸に必要な経営資源】※佐藤義典著「経営戦略立案シナリオ」より抜粋
(ハード資源)
技術:顧客の好みに合わせるための幅広い技術
設備:顧客に合わせて商品・サービスを作り替えられる設備
投資:顧客情報、顧客データベース
(ソフト資源)
知識・ノウハウ:顧客の好みを知り尽くす
文化・人:温かみ、気配り
組織:顧客に近い部署へ分権
経験:お客様の好みを聞き、組織へフィードバック
供給元との関係:自社の顧客に応じ幅広い品揃えを提供
顧客との関係:意見を言ってくれる常連顧客と、意見を聞く仕組み

ボトルネックは、「顧客情報の質と量」。
いかに顧客の顔が見えるようになるか?
そのために、どれだけ顧客との接点を多く作れるか?
コミュニティとして、帰属意識、共同体意識と共通利害、貢献意欲、コミュニケーションが求められます。そのためには、相手の顔が見えるかどうか?まさに土着化のレベルが問われます。
コミュニティマネージャーを中心に、地域に飛び込む!
過疎化が進む地方で挑む企業!
今後の無印良品に注目したいと思います。

「お客様の顔が見えているか?」

それではまた。
Mauruuru